皆様こんにちは！今回は11月からアイジュエリーウマキにて取り扱いがスタートしたTissotについてどのような歴史があり、どのようなブランドなのか各年代ごとに触れていこうと思います。

1853年 – 創業と「普遍の始まり」

1853年、父・Charles‑Félicien Tissot と息子・Charles‑Émile Tissot によって、スイス・ル・ロックルの町に「Ch. F. Tissot & Fils」として時計製造所が設立されました。
当初は懐中時計を中心に、父がケーシング（ケース製造）を、息子が時計技術を担うという親子二人三脚の工房から始まったこの物語は、「小さな始まりから、世界へ羽ばたく」という高級ブランドならではのロマンを感じさせます。

注目すべきは創業と同時に、量産体制を視野に入れた懐中時計の製造に着手していた点。設立年の1853年には、二つの時刻帯を1本の懐中時計で表示する“デュアルタイム”モデルも登場しています。
「伝統」というだけではなく、最初期から「機械を通じて価値を発信する」という志の高さが宿っていました。

1858年 – ロシア帝国への進出と国際化の布石

創業からわずか5年後、Charles-Émile Tissot はロシア帝国へと商業的な旅に出ます。
ロシアという当時の大国市場において、Tissot は懐中時計を通じてブランド名を浸透させ、「国内ブランド」という枠を超える国際ブランドへの第一歩を刻みました。
この体験は、やがてTissotが世界展開を視野に入れるうえでの重要な布石となり、「スイスの時計工房」という枠以上の風格をもたらしました。

1929–1930年頃 – 耐磁時計の創出と技術の進化

20世紀に入り、時計技術は劇的な進化を迎えます。Tissot にとってもその例外ではなく、「耐磁（アンチマグネティック）時計」を世に送り出したことが大きなマイルストーンです。
磁気によって時計の精度が狂いやすいという課題を前に、技術的に先を行くこの革新は、“高級時計＝精度と信頼”という概念を裏付けるものでした。
この時期、Tissot の名は信頼できるスイス時計メーカーとして、さらに強固なものとなりました。

1983年／1998年 – 体制変革とグループ参入

1983年、Tissot はスイスの大手時計産業グループ、Swatch Group（当時は SMH）へと参画。
1998年には完全にこのグループの傘下となり、資本面・流通面での強化を果たします。
この流れは、Tissot が単なる伝統ブランドではなく、真の“世界的高級時計ブランド”としてのポジションを確立するための決定的ステップでした。背景にあるのは、洗練された製造技術＋ブランド力を持続・拡大するための戦略的体制構築です。

1999年以降 – タッチ技術「T-Touch」など未来への展望

21世紀に入ると、Tissot はさらに革新的な技術に目を向けます。1999年に発表された「T-Touch」は、タッチスクリーンを備えた時計として大きな注目を集めました。
このモデルは、バロメーター、コンパス、温度計、アルチメーター（高度計）などを備えたハイテク仕様。伝統に加えて、テクノロジーを融合させる姿勢が明確です。
時計の“ラグジュアリー”という言葉を、単に金や宝石の豪華さではなく、「機能・素材・デザイン」すべてにおいて洗練された世界観として提示した瞬間とも言えます。

現在 – 伝統 × 革新の調和

現在、Tissot のスローガンは「Innovators by Tradition（伝統による革新者）」。
ル・ロックルの本拠地を守りながら、世界150以上の国と地域に展開しています。
そのコレクションはクラシックからモダン、スポーツ仕様まで幅広く、“ラグジュアリー”を定義する尺度を高めています。素材・仕上げ・ムーブメントといった時計の本質を追求しつつ、手に届く“高級”として愛されている点も特徴です。多くのモデルの中からお気に入りのデザインをコレクションに加えてみてはいかがでしょうか？

次回は代表モデルについて触れていこうと思います。