左に冠を抱く名作のリニューアル ”タグホイヤー モナコ”
左に冠を抱く名作のリニューアル
スクエアケース、左に置かれたリューズ、そして深く澄んだブルーの文字盤。腕に乗せた瞬間に「あ、これはモナコだ」とわかる時計が、世の中にどれだけあるでしょうか。
2026年、タグ・ホイヤーは時計界でもっとも個性的なデザインのひとつ、モナコ クロノグラフを新世代へと進化させました。今回ご紹介するのは、その中核となるブルーダイヤルモデル、Ref. CDW2181.FC8360です。
1969年の誕生から続く物語を受け継ぎながら、ケース素材も心臓部もすべてが現代仕様へと刷新された一本です。

1969年、四角い革命
モナコの物語は1969年に始まります。当時の常識を覆したのは、まずその四角いケースでした。角型でありながら防水性能を備えるというのは、当時としては技術的な挑戦そのもの。さらに搭載されたキャリバー11は、世界初の自動巻きクロノグラフ・ムーブメントのひとつとして時計史に名を刻みました。
そしてもうひとつの象徴が、9時側に配置されたリューズです。これはもともとモジュール式ムーブメントの構造上の必然から生まれたものでしたが、結果として誰もひと目でモナコと見分けられる、唯一無二のアイコンになりました。

この時計を一躍スターダムに押し上げたのが、俳優スティーブ・マックイーンです。1971年の映画『栄光のル・マン』で彼が手首に巻いていたのが、まさにこのブルーダイヤルのモナコ。レーシングスーツとブルーの角型クロノグラフという組み合わせは、半世紀を経た今もなお色褪せることのないアイコンであり続けています。
2026年、すべてを自社で
新世代のモナコ クロノグラフが大きく変わったのは、その「中身」と「素材」です。
まず素材。ケースにはグレード5チタンが採用されました。ステンレスに比べて軽く、それでいて高い強度と耐食性を備えるこの素材は、四角いケースの存在感をそのままに、装着感を驚くほど軽やかにしてくれます。表面はヘアライン・ポリッシュ・サンドブラストを使い分けた仕上げで、工業的でありながら上質な表情を見せます。
そして心臓部には、タグ・ホイヤーの自社製ムーブメントキャリバー TH20-11を搭載。コラムホイールとバーティカルクラッチを備えた本格的な自動巻きクロノグラフで、約80時間のパワーリザーブを誇ります。週末に外しても、月曜の朝にはまだ動き続けている――そんな実用性の高さが魅力です。

旧世代から数えて、ケースは厚みを約1mm抑えてスリムに。風防のサファイアクリスタルはより正方形に近いシャープな形状へと磨き直され、ケースバックの中央は緩やかに丸みを帯びて手首へのフィット感を高めています。スペック表には載りきらない、こうした「掛け心地」へのこだわりこそ、新型モナコの真価かもしれません。
引き込まれるブルーの表情
文字盤は、ブルーオパリンの美しいダイヤル。光の角度によって表情を変え、ある時は深い海の青、ある時は澄んだ空の青へと移ろいます。
レイアウトはすっきりとしたバイコンパックス(2カウンター)構成。3時位置に30分積算計、9時位置にスモールセコンド、そして6時位置には斜めに配された日付窓が収まります。新型ではダイヤルデザインが整理され、視認性とバランスが一段と洗練されました。
シルバーのカウンターとレッドのアクセントがブルーの地に映え、ロジウムプレートを施した針とインデックスにはスーパールミノバを充填。昼も夜も、レーシングウォッチにふさわしい明快な視認性を確保しています。

装着感
39mmという径は、近年のスポーツウォッチの中ではむしろコンパクトな部類。スクエアケースは数値以上に手首を選ばないため、男女問わず収まりよく着けられます。チタンの軽さも相まって、毎日の相棒として無理なく付き合える一本です。
ブラックのパンチング・カーフレザーストラップはレーシンググローブを思わせる仕立てで、グレード5チタンの折りたたみ式バックル(ダブルセーフティプッシャー付き)が安心感を添えます。スーツの袖口にも、休日のTシャツとGパンにも――シーンを選ばず手首に置けるのが、モナコの懐の深さです。

スペック
- モデル
- タグ・ホイヤー モナコ クロノグラフ
- リファレンス
- CDW2181.FC8360
- ケース径
- 39mm(スクエア)
- ケース素材
- グレード5チタン
- 風防
- ボックス型サファイアクリスタル
- 裏蓋
- シースルー(サファイアクリスタル/グレード5チタンフレーム)
- 文字盤
- ブルーオパリン(シルバーカウンター/レッドアクセント)
- ムーブメント
- 自社製 キャリバー TH20-11(自動巻きクロノグラフ)
- 振動数
- 28,800振動/時(4Hz)
- パワーリザーブ
- 約80時間
- 機能
- 時・分・スモールセコンド・クロノグラフ・日付
- 防水性能
- 100m(10気圧)
- ストラップ
- ブラック パンチングカーフレザー/チタン製フォールディングバックル
- リューズ位置
- 9時側(左リューズ)
※2026年「Watches and Wonders Geneva」で発表された新世代モデルです。
モナコは、ただ古いデザインを再生産しているわけではありません。1969年の精神を受け継ぎながら、素材も機構も「いま手に入る最良のもの」へと静かに作り替え続けている――そこにこのブランドの矜持があります。
四角いケース、左のリューズ、そして吸い込まれるようなブルー。
半世紀を超えて愛され続ける理由を、ぜひその手首で確かめてみてください。